2012年3月3日土曜日

平成23年度「NIE実践報告会」

今日3月3日、グランシップで開催されましたので、参加して来ました。

今年度の実践報告は、

①常葉学園高校 塚本先生
②島田市立金谷中学校 野中先生
③東伊豆町立稲取小学校 石原先生

の3本です。以下、個人的にポイントと感じたことを中心に、簡単に紹介します。

常葉学園高校の実践は、塚本先生がお一人で実践されたようです。
ただ塚本先生が実践校として取り組む以前から、3年生の授業として「コラム学習」という、新聞コラムを読ませて、要約させ感想を書かせたり、小論文対策や「外国事情」という英語の教科で新聞を活用しているという実績があったとのことで、それを深化・発展させることを目指されたようです。

NIE導入のねらいは、「生徒の考える力を高めたい」ということだそうです。
高校になると、どうしてもアウトプットが少なくなるからということだそうですが、確かにおっしゃる通りだと思います。

3年生の授業で新聞スクラップノートをつくらせたそうですが、特徴的なのは「スクラップノート自己分析プリント」なるものをつくらせたことです。
これは、生徒各自が、自分がスクラップした新聞記事の内容を分類させて、自分がどんな内容の記事を多く選んでいるかとかを分析させるものなのですが、これはアイデアですね。テーマを自由にスクラップさせたそうなので、この分析をすることで自分がどんな内容に興味があるのかがわかったり、あるいは得意分野、不得意分野などが一目瞭然となりますから、定期的に分析することでとても良い振り返りになります。このアイデア、盗ませてもらいます(^^)


金谷中学校では、「生徒がわかる・できる授業を目指して~生徒が主体的に取り組む授業とNIEの実践~」をテーマに取り組まれたそうです。
なんといってもすごいのは、学校の全職員を、①「授業づくり研究部」、②「NIE授業活用研究部」、「NIEリテラシー向上研究部」の3つにわけて、学校をあげて取り組まれたという点です。全職員が参加してという取り組みは、高校ではなかなか考えられないことです。

教科として、国語での取り組みがもっとも多く、次が社会、道徳ということですが、数学の統計資料を扱う部分で、夏の温度変化の統計資料を新聞から持ってきて扱った事例もあったそうで、学校一丸となって取り組まれたことが良くわかりますし、先生方もいろいろ工夫されたことがわかる実践報告でした。
その結果、「生徒が主体的に取り組む授業」というのが実現できたようですし、生徒が真剣に授業に取り組む様子も見られたそうで、まさにNIE実践の成果が活きた事例です。


稲取小学校も学校全体で取り組まれたそうです。金谷中学校といい、稲取小学校といい、義務教育のほうがこういう時には強いですね。だから良い成果を出せるのでしょう。
小学校ですと、低学年では新聞を読めませんし、中学年でもかなり難しく、高学年になってやっと何とか読めるらしいのですが、稲取小学校では全ての学年で実践されています。
その中で2年生と4年生の事例が報告されました。

2年生では新聞の写真を使ったクイズを子どもたちに作らせたそうですが、それでも問題をつくるのが大変だったそうです。
素晴らしいのは、子どもたちがお互いの問題を読み合いながら、この問題いいねとか、これじゃわからないとか話し合いができたということですね。この話し合いによって子ども達がいろいろ考えますから、さらに考察が深まるわけです。これこそ、NIE実践の大事な部分だと思います。

4年生は新聞をスクラップし、2つの記事から共通点を見つけ出して、見出しをつける活動をしたそうです。見出しをつけるためには、新聞を読み込む必要がありますが、4年生にとって難しい漢字が多く内容も難しいにもかかわらず熱心に取り組んだそうで、その結果国語での文章の要約もうまくなったということです。確かに、見出しをつけるという作業は、内容をうまく要約させる必要がありますから相乗効果ですね。
また他人にわかりやすいようにまとめるようと意識することが、子どもたち本人の理解も深まったという成果もあったそうです。
印象的だったのは、何からはじめるのがNIE実践に取り組みやすいかとの質問に対して、「子どもが最終的にどうなって欲しいかというゴールのイメージを持つこと」と答えられた点です。
稲取小学校では、これがはっきりしていたことが、このような良い結果をもたらしたのでしょう。


以上の報告を聞いて思ったことは、NIE実践は子どもたちが受け身ではなく、主体的に授業に取り組むことを可能にし、そこから次に発展する可能性を秘めているということです。特に小学校、中学校での取り組みはとても大切だと思いました。
私自身も、以前実践校として取り組んだときに感じたことですが、小学校あるいは中学校でNIE実践の経験がある生徒は、高校でNIEをやると他の生徒と全く違うということです。経験のある生徒は新聞記事をスクラップさせ、意見を書かせると、非常に良い気づきをします。それによって考察が深まり、主体的に学ぶ姿勢を示してくれます。結果、知識の幅が広がり、さらに考察が深まるといった、良い循環を示してくれるのです。
そのためには、継続的にNIE実践を続けることがとても大切なので、今回の稲取小学校や金谷中学校のように、全校あげて積極的にNIEに取り組んでいくことは非常に有意義だと思います。

来年度には中学校でも新学習指導要領となりますので、いろんな学校でNIE実践を試みてくれると、前のエントリーに書いたような大学での問題も解決していけるのではないかと思わずにはいられません。

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